「すずきさん」とよびかける声で、目が覚めた。ベッドの脇に安田さんが立っていた。ムクッと身を起こすと、安田さんが、「もう十一時です」と教えてくれた。彼は着替えを済ましていつでも出かけられる状態だった。「これ、奥さんからの差し入れです」。
私が寝ている間に葡萄を買って来てくれたようだ。一房で二キロぐらいはあろうかと思われる大きな房だ。日本で、マスカットと呼ばれている白いブドウであるが、それとは種類が異なる。種はなく、皮と実の部分がはっきりと分かれていないので、皮なり食する。味はマスカットと同じだが、やや大味である。
安田さんは、すぐにでも会場に向かいたいようであった。私は睡眠不足が蓄積されていたのと、今朝の大勢の人波に圧倒されていたので、「午後のダルシャンはパスします」。と安田さんに伝えた。安田さんは一人で出かけた。
祭りの日には、断食をして身を清めてその日を迎えるのが、正しい迎え方であると聞いていたが、私は食欲の誘惑に耐えることが出来なかった。安田さんのために買ってきたカシュー・ナッツ、アーモンド、松の実などの袋に手がつけられていなかったので、安田さんに「これ、安田さんが食べないなら、私が食べます」。「どうぞ、私の胃は受け付けません」。という返事だった。それら木の実と家内がさしいれてくれた葡萄を昼食代わりにした。
私は部屋で一人過ごした。静かな午後であった。人々は、ダルシャン・ホールに集まっている。今回の旅の目的は、今日のお祭りに参加することであるので、当然である。
私は、少し後ろめたい気持ちを感じていた。しかし、第一の目的は、最初の日のダルシャンで叶えられていたので、十分満足を感じていた。
ベッドの上で、日本で遣り残してきた校正の仕事をした。
午後六時ごろ、山内さんが新しい人を連れてきた。沖縄の方で、安里さんと言った。安田さんとは旧知の間柄だった。二人は懐かしそうに話している。ずんぐりした体型で、頭はショートカット、いかにも体育の先生という感じの、純朴な雰囲気を持つ人だった。
安田さんは、ベッドよりも床の上に直接マットを敷いて寝る方を選んで、これまで使っていた自分のベッドを安里さんに譲った。
私は、ショッピングセンターに行って、有り余っているルピーで、何をお土産に買って日本にかえろうか、下調べをすることにした。
サイババの講話や、バジャンを世界に放送し、それを受信することができる日本製のラジオが、ショッピングセンターの一階で、六千ルピーで売っていた。
同じ階に健康食品や薬品を並べた棚があった。アユルベータの教えに基づいて、植物から抽出した様々なエキスがあった。その中のあるものに私は目をつけた。日本に帰る前日にそれを購入しようと考えた。
三月十二日(2)
2010年08月30日 · コメント(2) · 未分類
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