秘教日記

幸福と至福の違い

今日は幸福と至福の違いについて
お話ししましょう
ある人はお金持ちで
なに不自由なく暮らしていましたが
平家物語ではありませんが
栄華盛衰は世のならい
やがて豊かな生活は
貧乏のどん底生活となりました
永遠の中の、つかの間の幸福でした
至福とはなんでしょう？
昔ギリシャにディオゲネスという哲学者がいました
彼は樽を住居にしていたそうです
ある日のことアレキサンダー大王が彼をたずねて
教えを請いました
アレキサンダーは言いました
私に教えを授けてくれたら、お前のどんな望みもかなえようと
ディオゲネスは答えました
「それなら、其処をどいて、私に太陽の光を受けさせてくれ。
　それが私の望みだ」と。
ディオゲネスは至福に満たされていたので
物質的な幸福に関心はありませんでした
 
夜明け
夜明けの瞬間に
立ち会ったことはありますか？
 
朝の冷たい空気に恐れをなして
布団の中でぐずぐずしていて
起きることをためらっている人には
体験できません
 
尾瀬での出来事です
昔友人たちと尾瀬にいきました
一人の友人がそこで自殺をしました
その友人の亡骸を取り囲んで
立会人の警察官とともに私たちは通夜をして
一夜を明かしました
 
夜明けが近づくと
まだ暗き森はここかしこ
小鳥たちのさえずりでやかましくなってきます
暗闇に包まれ静寂な森を背後に控えた
山小屋の窓越しに
仄かに太陽の光がみえたかと
思っていたら
薄明と闇の境目がものすごいスピードで森をはしり
まるで幕を引き上げたように
夜が明けました
それは本当に驚異の現象でした