キツネの幻影
今はどうかわかりませんが、
私が子供のころには、
頼母子講といって、
村の人々が1ケ月に一度づつ集まりました。
私の家で、
その頼母子講の集まりが
毎月開かれていました。
その集まりに参加する大人たちの世間話を聞くことが
私は楽しみでした。
ある日、
一人の人がきつねに化かされたお話をしていました。
その人のお話によると、
酒屋でお酒を飲んだ後、
自宅に帰る田舎道を歩いていると、
これまで見かけたことのなかった
古ぼけた一軒屋が畑の脇に建っていました。
その家の戸口を開けて、
美しい女の人が出てきました。
「お晩です」と言って挨拶すると、
「よかったらお茶でも飲んでいってください」と言いました。
家の中に入ると女の人は、
「ちょうどお風呂が沸きあがったところですから、
お風呂にはいてください」と言いました。
その人は言われるままに、
服を脱いでひと風呂浴び、
いい気分になったところで、
女の人に礼を言って家に帰りました。
家に帰ってみると、
出迎えた家人がびっくりした顔をして、
「お前さん、その格好どうしたの?」と叫びました。
驚いて自分の姿をよく見ると、
全身泥だらけで糞尿がついていたそうです。
本当にあった話かどうか私にはわかりませんが、
当時の大人たちには、
キツネに化かされるということがよくあったそうです。
キツネの幻影
2013年10月09日 · コメント(0) · 未分類
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