一年ぐらい前に書いたブログに、
サミュエル・ベケットの
「マーフィ」という小説のことを取り上げたことがあります。
その中に、
”肉体の活力が減少するに従って、
精神の働きが活発となる”
という一文ががありました。
どういうわけか、突然この一文が思い出されました。
寝たっきりになっていた晩年の母親が、
ある時、兄と私の行く末を預言しました。
母は老衰で現実と夢が区別がつかなくなったのか、
とその時私は思いました。
今思い出して見ると、
肉体がひどく衰え、毎日寝たきりの生活を送っていると、
精神活動は却って活発になり、
過去と未来が見渡せるほどになるかもしれない。
釈尊が大きなサトリに達する前に、
苦行生活を長く続けてやせ細っていたことが知られています。
イエス・キリストも、
第三イニシエーションを受ける前に、
荒野に出て、40日40夜断食したと、
聖書に書かれています。
40日も断食することは、
今の私たちには、とてもできないことです。
肉体が衰えているとき、
精神が活発になることがあるかもしれない。
そんなことを密かに期待している自分でした。
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