この老人ホームの一人のスタッフが
一人の老人を見て言いました。
”小動物のようで、かわいい!”と。
おでこにタンコブがあり、
顔はアザだらけで、目つきは恐ろしく、
異様な容貌の80過ぎのおじいさんのことです。
普通の人が見れば、
とてもかわいい感じではありません。
ソファに座ると、足腰がやせ細っているので。
スタッフに助け起こしてもらわなければ、
一人で立ちあがることがむずかしい。
私たちが椅子を動かすときに、
椅子の足と床がこすれて音をたてると、
”やかましいわ! クソダワケ!”とか、
”バカヤロウ”と暴言を吐きます。
その言葉使いが、どうやらおじいさんの口癖のようで、
気に入らないと他の場面でも同じ言葉を吐きます。
私も初めて耳にしたときは驚きましたが、
今ではその言葉を聞いても、
誰もが笑っています。
確かに、「小動物のようで、かわいい」。
老人ホームの入居者達をお世話するスタッフは、
認知症を患った老人たちの言動に腹を立てていては、
勤まりません。
私たち老人は、
自分の言動のカルマの果実を刈り取りつつあります。
それゆえ、人の心を傷つける力が、
なくなっているかもしれません。
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