秘教治療を目指す人の訓練として、次のような三つの要件を挙げておきたい。
一番目は、「完全なる冷静さ」と表現される感情体のコントロールである。秘教治療家は、非常に重症の患者を目の前にすることがある。その苦しむ姿を見て動揺し、激しく感情体を振動させるようなことがあってはならない。「もしあなたがあらゆる情緒的反応から完全に自由になっているなら、あなたのマインドの明晰さ、明晰に考えることのできる能力は、そこに含まれるすべてのことがらとともに、非常に増大するということは確実である」。
二番目は、「完全なる見解」と表現される無執着と識別という二つの特質の発達である。そして「分離」という大いなる異端から解放されていることが必要である。このとき障害のない愛のチャンネルとして機能することができる。
三番目は、「神聖なる理解」という言葉で表現される魂の特質、「マインドを光の中に着実に保持する」能力である。
以上の三つは、高位のイニシェートが示す特質であるが、低い段階にいる弟子、すなわち秘教治療家にも、低位のレベルでそれに相当するものを、ある程度表現できることが求められている。
関心のある方は、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の中の「大審問官」という章でとりあげられているキリストの荒野における三つ試みをお読みください。キリストが悪魔に誘惑の試みにあう話である。その三つの試みが上で取り上げた三つの要件の高位での特質を表現している。
三つの要件
2010年06月20日 · コメント(0) · 未分類
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