今朝は最後のダルシャンに参加する。最初の日と同じ三時三十分に待ち合わせ場所である三叉路に集まった。昨日までの混雑ぶりとはうってかわって、宿舎前の広場は人が疎らになっていた。給仕用のテントもすっかり片づけられていた。朝の空気が気持ちよい。昨日までの、どこかせかされる気持ちは消えて、ゆったりした気持ちで、籤引の広場へと足を運んだ。ふと空を見上げると、満天の星であった。全員が感嘆の声をあげた。新月で月明かりがないせいか、街灯の光にかきけされることもなく、六等星ぐらいまで見えそうである。日本の星空で言えば、八ヶ岳の山頂で目にすることができるような星空である。そして、アカシャもどきの喬木の、満開になっている花が放つ、あの甘い香りが、漂っている。街灯の光とそこを流れるように進んでいく人々の影。再び、「サウンド・オブ・サイレンス」のメロディーが聞こえてくる。
広場に近づくにつれ、歩調が速くなり、それとともに、あのサイババの言葉が脳裏に蘇った。
「またお会いましょう」。
パウロさんが十五日までいると答えたものの、今日が最後のダルシャンであるということは、サイババはきっと御存知であるから、ひょっとしてインタビュールームに呼ばれるかもしれない。自然と歩調が速くなり、セバの人に導かれて、広場を見下ろす丘の上に通じている、小道に並ばされた。今日は広場にはまだ列が作られておらず、一旦小道に並んでから、順番籤を引く広場の方に並び直させられることになった。丘の上につながる小道に並んでいると、私の左手に並んでいたすぐ左の列の人が立ち上がって、私をその列に入れ代わって入るように促した。私はグループの人たちと分かれて一人だけ、一つ前の列の中ほどに加わることができた。ほどなくして、籤引をする広場へと並び直すように導かれた。私は人数が一番少なそうな列の最後尾についた。そして、その列の籤は前から十五、六番であったと思う。ダルシャン・ホールでは、南北に走る中央の通路のすぐ脇の、サイババの姿が障害物なしに見ることができる、絶好の場所を占めることができた。期待は大きく膨らんだ。サイババがこちらに歩いてこられれば、きっと私の姿が目にとまるから、インタビュールームに呼ばれるだろう。そんなことを考えながら、座って待った。日本から来た、他の男性陣はと見回すと、山内さんの姿が私から十メートルぐらい左手に見ることができた。山内さんの左側に、他の人たちも並んで座っているに違いない。彼らは通路際から十メートル程さがった位置であった。
三月十四日、最後のダルシャン
2010年09月03日 · コメント(0) · 未分類
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