11/23のTVは紅葉狩りの観光客でにぎわっている各地の紅葉の名所を映像で紹介していました。
その映像に触発されて、自分が若い頃に見た紅葉の風景を思い出し、
文章として留めておこうと思いました。
以下は40才頃、伝導瞑想を離れて、地質調査士の助手の仕事に就いていた時の話です。
目の前は、高さ五百メートル、幅二百メートル位の、屏風のような山の斜面である。
その斜面は一面ナナカマドや漆の木、もみじ、栃の木などで覆われていた。
十一月半ばのことであった。
風がふくと、さわさわと音をたてながら、夕日で紅色は色濃くなっていた。
もみじ、樫の木、栃の木、ナナカマドの葉が舞い散っていく。荘厳な光景であった。
私はその光景をじっとみながら、こんな光景はめったに見られないと思った。
遠くからさわさわと風が吹く音、そして木々の葉がこすれあうザァーッという音が聞こえてくる。
それがだんだんとこちらに近づいてくるなと思っていたら、目の前に突然、幾筋もの錦色の光が乱舞し始めた。紙吹雪のように、落ち葉がザワザワと音をたてながら、とめどもなく散っていく。
それがどのくらいの時間続いたのだろうか。私はすべてを忘れてその光景に見とれてしまった。
これではいけないと思って、あわててベントナイトを掻き混ぜるために、ドラム缶にかけよった。
そうする必要は全くなかったのだが。トントントンというディーゼルエンジンの回転音のみがあたりを支配するようになった。やがて日が傾いていく。その前にロッドを孔から出して、資料をとりださなければならない。
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