私が老人ホームを出てアパートに移ると、
兄は、”バカなことをした”として、
私の行動を理解できない。
兄は”弱肉強食”の考え方が、
世間一般的なものという考えの人である。
一人住まいで、
自分の能力を使わなければならない状況より、
老人ホームにいれば安楽である。
認知症の症状がない私にとっては、
しかし老人ホームの幽閉状態は苦痛である。
”長いものに巻かれて生きる”方が、
安楽だと考える兄には、
私の考え方が理解できない。
私がリハビリの為に再入院するときも、
PCを荷づくりして病院に持ち込もうとすると、
兄は”病院にPCを持ち込む意味が分からない”という。
自分の考え方が普通で、
誰もが同じように思うはずだ、
とかんがえている。
私は、そんな兄に、
”自分の考え方が普通だとか、
自分の考えが最善だと思っている人が社会には多い”
と言うのだが、
人それぞれに異なる考え方があるとは、
兄には理解できないようだ。
多くの人々が、自分の考え方と異なる、
多様な考え方を認める社会は、
いつ来るのだろう?
”あなたが見ている空は、
世界の誰もが見ている空ではない”
ことを知ってほしい。
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