秘教日記

mimizutoisiのブログ

秘教日記 header image 2

新しい時代に人は大いなる目的を持つ。人類がイニシエーションの 道を発見し、それを辿ることになるということを、ハイラーキーは 予言しています。エベレスト登頂を成し遂げた人々が出現したことは、 ハイラーキーの予言が正しく実現される証しです。世界最高峰登頂の 出来事は、イニシエーション達成の予兆となっています。

ブログ各記事をクリックするとコメントすることが出来ます。

閉じ籠りに寄せて:息子よ(15)

2019年08月15日 · コメント(0) · 日記

私はトントントンというディーゼルエンジンが回転す る音を聞きつつ、ドラム缶に谷川の水が入っているのを 確認する。そしてときどきベントナイトを水にとかして 、攪拌する。  ベントナイトについて。ドラム缶三分の一ほどに水を いれ、二十キログラムほどのベントナイトをとかしこむ 。ベントナイトは灰色の粉で、水で溶かすと粘土のよう な粘り気を持つ。それをロッドとよばれる鋼鉄のパイプ を通して、ロッドの先端まで送り届ける。ロッドの先端 には岩を掘削するためのカッターがとりつけてあり、そ のカッターが絶えず回転して岩を削り取る。その削りく ずは、ベントナイトとともにロッドの外側の隙間を通っ て地表まで溢れてくる。それを金網で漉すと、岩のけず りくずが漉されて、ベントナイト水溶液のみが別に掘っ た穴に流れていく。それを再びドラム缶にもどして、循 環させるのである。  ロッドの重量は三キログラムであり、長さは三メート ルである。百メートルを掘り進むと、三十四本のロッド をつなぎあわせる。立て掛けてあるロッドを穿孔まで運 び、次々につなぎあわせていく。それは一気におこなわ なければならない仕事である。それ一回行うと疲れがど っとやってくる。体力の要る仕事である。  助手はベントナイトを時々かきまぜて、準備をしてお くこと、排出されたけずりくずをこしとった網から排除 すること、そしてロッドをつないでいくことが主な仕事 である。  目の前は、高さ五百メートル、幅二百メートル位の、 屏風のような山の斜面である。その斜面は一面ナナカマ ドや漆の木、もみじ、栃の木などで覆われていた。十一 月半ばのことであった。風がふくと、さわさわと音をた てながら、夕日で紅色を濃厚にしたもみじ、樫の木、栃 の木、ナナカマドの葉が舞い散っていく。荘厳な光景で あった。私はその光景をじっとみながら、こんな光景は めったに見られないだろうと考えていた。  遠くからさわさわという風が吹く音、そして木々の葉 がこすりあう音が聞こえてくる。それがだんだんとこち らに近づいてくるなと思っていたら、目の前に突然、幾 筋もの錦色の光が乱舞しだした。紙吹雪のように、落ち 葉がさわさわと音をたてながら、とめどもなく散ってい く。それがどのくらいの時間続いたのだろうか。私はす べてを忘れてその光景に見とれてしまった。これではい けないと思って、あわててベントナイトを掻き混ぜにド ラム缶にかけよった。そうする必要は全くなかったので ある。トントントンというディーゼルエンジンの回転音 のみがあたりを支配するようになった。やがて日が傾い ていく。その前にロッドを孔から出して、資料をとりだ さなければならない。

タグ :

コメント (0)

コメントはまだありません。

コメントする

CAPTCHA