秘教日記

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新しい時代に人は大いなる目的を持つ。人類がイニシエーションの 道を発見し、それを辿ることになるということを、ハイラーキーは 予言しています。エベレスト登頂を成し遂げた人々が出現したことは、 ハイラーキーの予言が正しく実現される証しです。世界最高峰登頂の 出来事は、イニシエーション達成の予兆となっています。

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閉じ籠りに寄せて:息子よ(22)

2019年08月22日 · コメント(0) · 日記

手術して助かるかどうかは五分五分であることは、私よりも先にすでに家内には告げられていたようである。当時は癌であることは、ショックを与えるかもしれないということで、当人には伏せられていることが多かった。しかし、私の場合には、検査の初めから癌であるかもしれないことは明らかとなっていたから、隠す必要もないことであった。「五分五分である」という宣告は、全くショックでなかったと言えば嘘になる。しかし、私は心の片隅で、これで死ぬことになるのなら、今の精神的苦境から解放されることになるという気持ちでいたので、案外死を恐れる気持ちがなかった。生きることに執着を持っていたなら、手術は御免です、と医師に告げたかもしれない。しかし私は「では、手術をお願いします」と告げた。手術後の自分の行く末を漠然と期待する気持ちであったかもしれない。
家内は、何も語らなかったが、かなりショックを受けているようであった。
私はひょっとして、手術がうまくいかなくて死ぬことになるかもしれないという一瞬の恐れが頭をよぎらなかったとは言えない。一方では、死ねば今の苦難が消滅するだろうという期待感があった。だから、躊躇することは何もない。もしも、苦難のない状況であったなら、「ちょっと待ってください。考えさせて下さい」と返事をしただろう。私はガンを遠隔治療によって治療するという先生について学んでいたのである。癌が私にできたということは、私が学んできたことは少しも身についていないということであった。私は結婚してからこれまでに、胃潰瘍を患ったことはあったが、まさか自分が癌に罹るとは想像もしなかった。しかし、今現実に癌という腫瘍が出来ている。これはたぶん、今の状況となって、「死にたい」という意識を持ち始めた心の持ち方が、主な原因であるという考えにいたった。たぶん手術しなくても、先生に遠隔治療を頼めば、ガンはなくなるだろう。しかし、手術を受けることにした。これまで二日間も食べ物をとらず、消化器官内に食べ物を無くすようにしてきたから、しばらくは入院を余儀無くされるだろう。そしてなによりも、病気から回復すれば、再びボーリングの仕事に戻ることになる。正直にいってしまえば、ボーリングの仕事は私の天職ではない。一刻も早く辞めたいと考えていた。だから癌の手術をすれば、その仕事を辞めるための正当な口実ができるだろう。親方も、私が癌の手術をした体であるから、頑強な体力を必要とするボーリングの仕事を続けることは無理であると納得できるであろう。
手術にむけて準備するために、家内に説明がなされ、承諾書に押印した。ある日のこと、看護婦さんがアンケートと称して、私に色々とたずねた。その中に「普通の手術を望みますか、それとも腕のいい先生の手術を望みますか」という質問があった。癌患者の方たちの中には、経済的にゆとりのある方もいて、多少の金額を余計に払っても、腕の確かな外科医に執刀してもらいたいと望むにちがいない。だからそのような人のために、念のために、私にもそのようなことを望んでいるか尋ねているに違いないと思った。私は、経済的に全くゆとりはなく、医療費も充分に払えない状態であるので、普通のお医者さまで結構です、と答えた。そして「執刀することになる、普通の先生は、どんな方ですか?」と看護婦さんに尋ねてみた。すると「頑固で、看護婦の言うことに耳を貸しません」という返事が帰ってきた。少し不安になった。

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