娘の難聴
娘が小学校二年生の時、学校の健康診断で、右耳の突発性難聴という診断書を持ちかえり、私はびっくりした。聞きづらいとは言っていたが、これも心因性のものだった。
両親の会話を、二階で寝ていた娘は、枕に耳をあてがいじっと聞いていた。幼心を痛めていたようだ。祖母が子供の相手をしによく遊びに来てくれていたが、帰り際に、娘がいつも「おばあちゃん、このおうちは暗いの。一緒に住んでくれない?」と手を放さなかったと聞く。子供の小さな心を苦しめていたことに、親は気づくことができず、最悪な状態だった。悪い子供なんていない。個性的な子供たちなのだ。個性を伸ばしてやれず、心に負担を負わせて歪めていくのは、大人たちなのだ。彼らの芽はしなやかで壊れやすく、とても従順なのだ。
こんなエピソードがある。娘が三年生の時、待ちに待った遠足が近づいてきた。友達四、五人で近所の駄菓子屋へ出掛け、皆と同じおやつを買って楽しそうにリックに詰め込んでいたが、遠足の前日、夫はどんな菓子を持っていくのだろうと、リュックを開き、「これでは駄目だ、僕が買ってくるから、入れ替えておいてくれ」と、同額の菓子を購入。リュックに入れ替えたのは私だ。遠足から帰った娘の顔は、楽しさは消え、うつむいて帰ってきた。お菓子を皆で食べようとした時、自分のリュックには別の菓子が入っており悲しく、食べる気がしなかったと言う。私も娘に、お菓子を入れ替えた理由を説明せず、よかれと思いやった行為で、子供を傷つけてしまった。
又、息子の場合は、やはり四年生の時、母親同伴で息子たちとの食事会に行った時のこと、レストランで楽しいメニュー選び、あれがいい、いやこれにすると息子たちはかしましく選んでいた。おおかたハンバーグに落ち着き、皆がハンバーグを選んだ。息子は別のものを選んでみたものの、皆と一緒がいいとハンバーグに変更。わが家では、夫(ベジタリアン)の希望で、肉は健康によくないという理由から、蛋白質は他の食品でとっていた。私もその頃は随分夫に感化され、嗜好より教理に沿った食物を摂取するように心掛けていたため、ハンバーグは駄目、豆腐ハンバーグにしたらどうと勧めるが、息子は皆と一緒がいいときかない。私もむきになり、豆腐ハンバーグを息子に押しつけたことがあった。
閉じこもりについて(5)(家内の手記の続き)
2019年11月24日 · コメント(0) · 日記
タグ : 個性
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